鍵を忘れて家に入れなくなり、あらゆる手段を尽くしても、どうにもならない。そんな、八方塞がりの状況で、最後の頼みの綱となるのが、「鍵の専門業者(鍵屋)」です。電話一本で駆けつけ、魔法のように、固く閉ざされた扉を開けてくれる、まさに救世主のような存在。しかし、その魔法には、当然ながら、対価が必要となります。鍵屋に、玄関の鍵開けを依頼した場合、一体、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。その料金は、主に「鍵の種類」と「依頼する時間帯」によって、大きく変動します。おおよその相場を知っておくことは、不当な高額請求を避け、安心して依頼するための、重要な知識となります。まず、最も一般的な「住宅の玄関の鍵」の場合です。昔ながらのギザギザした形状の「ディスクシリンダー」や「ピンシリンダー」といった、比較的シンプルな構造の鍵であれば、解錠作業の相場は、おおよそ八千円から一万五千円程度です。しかし、近年の住宅で主流となっている、表面に多数の丸い窪みがある、防犯性の高い「ディンプルキー」の場合、ピッキングによる解錠の難易度が格段に上がるため、費用は一万五千円から三万円以上になることが一般的です。これらの基本料金に加えて、業者によっては「出張費」が、別途、三千円から五千円程度かかったり、あるいは、深夜や早朝の対応には、通常料金の二割五分から五割増しの「時間外割増料金」が、上乗せされたりします。そのため、深夜に、ディンプルキーの解錠を依頼した場合は、総額が四万円を超えることも、決して珍しくありません。電話で依頼する際には、必ず「鍵の種類と、現在の時間帯を伝えた上で、全ての費用を含んだ、総額での見積もり」を、確認するようにしましょう。広告の「激安」表示だけに惑わされず、その価格の裏にある、全体像を、冷静に見極めることが、何よりも肝心です。