トイレは家の中で最もプライベートな空間の一つですが、万が一ドアが開かなくなると、一転して閉鎖的で不安な空間になってしまいます。特に近年、高齢者のいる家庭や、小さなお子さんがいる家庭では、トイレでの閉じ込め事故を防ぐための安全対策への関心が高まっています。こうしたニーズに応えるため、最近のトイレドアやドアノブには、様々な工夫や安全機能が搭載されるようになってきました。ここでは、最新のトイレドア事情、特に重要となる非常解錠機能の種類や、ドア・ドアノブ選びのポイントについて紹介します。かつてのトイレドアは、内側から施錠すると外側からは容易に開けられないものが一般的でした。しかし、前述のような閉じ込め事故のリスクを踏まえ、現在新築やリフォームで設置されるトイレドアの多くには、「非常解錠機能」が標準的に装備されています。この機能は、万が一、内側で人が倒れたり、子供が誤って鍵をかけてしまったりした場合に、外側から強制的に解錠できるようにするためのものです。非常解錠機能にはいくつかのタイプがあります。最も一般的なのは、ドアノブやレバーハンドルの外側(廊下側)の中心部分に、マイナスの溝が付いているタイプです。この溝にコインやマイナスドライバーなどを差し込んで回すことで、内側のサムターン(つまみ)の状態に関わらず、ラッチボルトを操作して解錠することができます。非常にシンプルで分かりやすい機構ですが、適合する道具がないと開けられないという側面もあります。もう一つは、表示錠タイプです。これは、ドアノブやレバーハンドルとは別に、施錠・解錠の状態を色(例えば、赤と青)で表示する表示板と、非常解錠用の溝が一体になったものです。内側で施錠すると外側の表示が変わり、ロックされていることが一目でわかります。非常時には、この表示部分にある溝をコインなどで回して解錠します。公共施設のトイレなどでよく見かけるタイプですが、家庭用としても普及しています。さらに、最近では、より簡単に操作できる非常解錠機能も登場しています。
最新トイレドア事情非常解錠機能と選び方