私が一人暮らしを始めた頃、玄関の鍵置き場なんてものは存在しませんでした。帰宅すると、その辺のテーブルやカウンターにポンと無造造作に鍵を放り投げる毎日。当然、翌朝は「鍵はどこだ!」と小さな捜索活動から一日が始まるのが常でした。結婚し、家族が増えるにつれて、この鍵問題はさらに深刻化しました。夫の鍵、私の鍵、そして後には子供の持つ(ことになるであろう)鍵。それぞれの鍵が思い思いの場所に散らばり、誰かの鍵が見当たらないとなれば、朝の支度は大混乱です。最初に試したのは、玄関のシューズボックスの上に置いたおしゃれな小皿でした。見た目は良かったのですが、鍵以外の郵便物やDM、ちょっとした小物などが雪崩のように小皿を侵食し、結局、鍵はその他大勢に埋もれてしまう始末。次に導入したのは、壁掛け式のキーフックです。これは少しマシでしたが、フックにかけるという一手間が面倒だったのか、いつの間にかフックの下の棚に鍵が山積みになるという本末転倒な結果に。子供が成長し、自分の鍵を持つようになると、問題は新たな次元へ。子供は大人以上に鍵の管理が苦手です。そこで、ついに我が家は根本的な鍵置き場改革に乗り出すことを決意しました。家族会議を開き、それぞれの動線や「ここに置きたい」という希望(という名のわがまま)を聞き取り、現状の問題点を洗い出しました。そして辿り着いたのが、現在の「多機能型・個別認識可能鍵置きシステム(と勝手に命名)」です。具体的には、玄関の壁にマグネットボードを取り付け、各自の鍵には強力なマグネットキーホルダーを装着。帰宅したらボードの自分のエリアにペタッと貼り付けるだけ。子供のエリアには好きなキャラクターのシールを貼り、視覚的にも分かりやすくしました。さらに、ボードの横には小さなホワイトボードを設置し、鍵の持ち出し状況や連絡事項を書き込めるようにしました。このシステムを導入してからというもの、朝の「鍵どこ?」騒動は嘘のように激減。家族それぞれが自分の鍵に責任を持つようになり、玄関も以前よりスッキリしました。完璧とは言えないかもしれませんが、試行錯誤を繰り返した結果、今の我が家にとってはこれがベストな形です。鍵置き場一つで、これほどまでに日常が変わるとは、正直驚きでした。