毎日のように使う玄関の鍵。利便性を考えて、つい玄関ドアのすぐそばや、シューズボックスの上に無造作に置いてしまいがちです。しかし、その「いつもの場所」が、実は防犯の観点から見ると危険な場合があることをご存知でしょうか。空き巣などの侵入犯は、ほんのわずかな隙や油断も見逃しません。便利な鍵置き場も、一歩間違えれば侵入の手助けをしてしまう可能性があるのです。まず最も注意したいのが、玄関ドアのすぐ内側、例えばドアスコープや郵便受けから手を伸ばせば届くような場所に鍵を置くことです。「サムターン回し」という手口で外部からドアのつまみを操作されたり、郵便受けから特殊な工具を使って鍵を釣り上げられたりする危険性があります。また、玄関ドアの近くの窓際に鍵を置くのも避けるべきです。窓ガラスを割られたり、無施錠の窓から手を伸ばされたりして、簡単に鍵を奪われてしまう可能性があります。これらの場所は、侵入犯にとって「どうぞ鍵を持っていってください」と言っているようなものです。では、どこに鍵を置くのが比較的安全なのでしょうか。理想的なのは、玄関から少し離れたリビングやダイニングなど、外部から容易に視認できず、かつ手が届きにくい場所です。もちろん、家族全員が分かりやすく、日常的に使いやすい場所であることも重要です。蓋つきの小物入れや、引き出しの中に鍵専用のスペースを設けるのも、外部から見えにくくする効果的な方法です。また、スペアキーの保管場所には特に注意が必要です。玄関周りの植木鉢の下や、屋外の物置などに隠しておくのは非常に危険です。万が一、空き巣に発見されれば、いとも簡単に侵入を許してしまいます。スペアキーは、自宅以外の信頼できる親族や友人に預けるか、銀行の貸金庫などに保管するのが最も安全な方法と言えるでしょう。玄関の鍵置き場は、日々の利便性と防犯性のバランスをよく考える必要があります。少しの工夫と意識で、家族の安全を守ることに繋がります。便利だからという理由だけで安易に場所を決めるのではなく、一度防犯という視点から、ご自宅の鍵の置き場所を見直してみてはいかがでしょうか。