南京錠が開かなくなってしまった時、できれば壊さずに開けたいと考えるのは当然のことでしょう。南京錠を壊さずに開ける方法は、主に鍵の種類によってアプローチが異なりますが、いずれも専門的な知識や技術、あるいは根気が必要となる場合が多く、必ず成功するとは限りません。最も一般的なピンタンブラー錠の南京錠の場合、前述の通りピッキングという技術が理論的には存在します。専用の工具を使い、鍵穴内部のピンを精密に操作することで解錠を目指しますが、これは素人には非常に難易度が高い作業です。特に近年の製品はピッキング対策が施されているものも多く、成功率は低いと言わざるを得ません。ディスクシリンダー錠(ロータリーディスクタンブラー錠)の南京錠も、ピッキングによる解錠は極めて困難とされています。鍵穴の形状が複雑で、内部のディスクを正確に操作するには高度な技術が必要です。次に、ダイヤル式の南京錠の場合です。暗証番号を忘れてしまった場合、最も原始的な方法は番号の総当たりです。3桁のダイヤルであれば1000通り、4桁であれば10000通りの組み合わせを全て試すことになります。根気と時間があればいつかは開きますが、現実的ではない場合も多いでしょう。一部の安価なダイヤル式南京錠には、ダイヤルを回した際のわずかな感触の違いや、ツルの部分にかかるテンションを利用して番号を特定する、いわゆる「裏技」的な方法が存在すると言われることもあります。しかし、これらの方法は全ての製品に通用するわけではなく、メーカーによる対策も進んでいます。また、これらの方法を試す過程で南京錠を破損させてしまうリスクも伴います。では、壊さずに開けることが難しい場合、どうすれば良いのでしょうか。一つの選択肢は、やはり専門の鍵業者に依頼することです。業者は、鍵の種類や状態に応じて、可能な限り破壊を避けた解錠方法を試みます。ピッキングや特殊な解錠工具の使用など、専門家ならではの技術で対応してくれるでしょう。しかし、それでも解錠が不可能な場合や、時間的制約がある場合には、最終的に破壊開錠を選択せざるを得ないこともあります。南京錠を壊さずに開ける試みは、ある程度の知識と技術、そして何よりも「開かないかもしれない」というリスクを理解した上で行うべきです。